NISAのメリットとデメリット
NISAには、以下のようなメリットとデメリットが存在します。
年間で最大120万円までの資金を非課税で運用できることがメリットですが、忘れてはならないデメリットが多い点にも着目すべきです。
この章でメリットとデメリットをしっかりと理解して、無理のない範囲でNISAを活用して資産形成を行っていきましょう。
メリット1. 年間120万円×最長5年間の最大600万円を非課税で投資ができる
NISAの最大のメリットは、年間120万円までの資金を非課税で投資できることです。
非課税期間は最長で5年間なので、非課税枠を毎年フルで活用すれば最大で600万円までの資金を非課税で運用できます。
また、非課税期間中に売却してしまえば税金が発生することがない点も特徴です。
なお、5年の非課税期間が終了した後の金融商品に対しては以下のような選択肢があります。
ロールオーバーについては「メリット3.非課税期間が終了しても翌年の非課税枠に移管(ロールオーバー)できる」で解説します。
メリット2. 配当金や売却益は無制限で非課税
NISAの運用によって得られた配当金や売却益は、無制限で非課税となります。
たとえば、1年間でNISAに投資できる最大の金額は120万円と決められていますが、非課税となる収益に対しては上限が設けられていません。
通常、投資によって得られた収益の20.315%が課税されるため、収益のおよそ1/5は税金として納めることになります。
ですが、NISAで運用して得られた収益に対しては一切の課税が為されないため、利益が大きくなればなるほど非課税で運用できるメリットによる恩恵も大きくなっていきます。
メリット3. 非課税期間が終了してもロールオーバー、または新NISAへの移管ができる
NISAによる5年間の非課税期間が終了しても、保有している金融商品を翌年の非課税投資枠への移管(ロールオーバー)が可能です。
しかし新NISAが2024年に開設されるのに伴い、2019年以降に従来NISA口座を開設した人は、新NISAにロールオーバーすることになります。
ロールオーバーをすることで、トータルで見ると利益が出ていないのに課税されてしまう現象を防ぐことができます。
たとえば、NISAの運用中に120万円の金融商品が60万円になった場合を想定してみましょう。
60万円になったまま非課税投資期間の5年を過ぎてしまい、ロールオーバーをしなかった場合は課税口座に移すかその時点で売却するしかありません。
この時、課税口座に移した後で金融商品の価値が高騰して120万円に戻ったと仮定すると、利益の60万円に対して20.315%が課税されて12万1,890円を税金として納めなければならなくなります。
つまり、投資した金額としてはプラスマイナスゼロですが、課税口座内では収益が出たものとみなされるため、20.315%の課税がされてしまいます。
ロールオーバーを活用すれば、翌年の非課税枠を利用できるのでこうした事態を防ぐことができます。
ただしロールオーバーを利用しても非課税枠が増える訳ではないので注意
ただし、あくまで翌年の非課税枠を利用するという性質から、ロールオーバーした年については「年間投資枠120万円 – ロールオーバー分」の金額までしか投資することができません。
たとえば、保有中の資産が100万円でロールオーバーする場合、翌年の投資枠は「120万円 – 100万円」で残りの20万円までとなります。
なお、ロールオーバーできる金額には上限が設けられていないため、5年経過時点で保有している金融商品の時価が120万円を超えていた場合でも、すべてを翌年の非課税投資枠に移せます。
しかし、その場合は非課税枠を使い切っているのと同義になるため、その年は資金を追加して投資を行えないということを覚えておきましょう。
デメリット1. 元本割れする可能性がある
NISAは運用の結果によって元本割れを起こす可能性があります。
また、NISAの非課税期間は最長で5年間と期間が短く、その後はロールオーバーが課税口座への移管のどちらかの手続きをする必要があります。
仮に元本割れの状態で課税口座へ移した場合、その時点の金額が新しい購入単価とみなされるので、たとえ金額が元に戻っても収益とみなされて課税されます。
たとえ投資金額のトータルで見た場合に損益が出ていたとしても、課税口座へ移してから収益が出ていれば課税対象とみなされてしまうので、元本割れが起きた状態は特に注意が必要です。
デメリット2. 損益通算ができない
NISAでは損益通算ができません。
「損益通算」とは?
一定期間内の利益と損失を相殺すること
たとえば、口座Aでの運用益が+50万円、口座Bでの運用益が-30万円となった場合、通常は口座Aの50万円に対して約20%が課税されます。
この時、損益通算を行うことで口座Aの利益50万円から口座Bの損失30万円を差し引いた金額20万円が課税対象となり、課税対象の金額が減ったことで税負担の軽減が見込めます。
ですが、NISAは損益通算の対象に含まれないため、仮に課税口座で利益が出ていてNISA口座で損失を出していたとしても損益通算ができないので、利益の分だけ税金を収める必要があります。
また、NISAの損失を翌年以降に繰り越すこともできないので気をつけましょう。
デメリット3. 投資対象は新規のみ
NISAは新規での投資だけが対象となります。
現在保有している株式や投資信託などの金融商品をNISA口座に移すことはできないので、すでに金融商品を保有している人はご注意ください。
デメリット4. 取引できる金融商品が限られている
NISAで取引ができる金融商品は限定されています。
対象の金融商品 | 対象とならない金融商品 |
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投資初心者の人であれば気にする必要はありませんが、すでに投資を経験している人で上記以外の金融商品での投資を考えている人は気をつけましょう。